［2018/2/23］このたび、当ブログ管理人は、過去に起こったクラシック音楽界の事件を順次取り上げる新シリーズをスタートすることにした。
第１回は「東京芸大 海野教授事件」
この事件は、わが国を代表するヴァイオリニストである海野義雄（現在82才）が東京芸大の教授であった時に起こった贈収賄事件で、結果的に海野は受託収賄罪で、懲役1年6月、執行猶予3年の有罪となった。
ネット情報（Wikipediaなど）をもとに、事件の経過をみてみよう。
取っ掛かりは別の事件だった。
1981年12月1日、楽器輸入販売業「カンダ・アンド・カンパニー」の社長・神田侑晃が有印私文書偽造および同行使の容疑で東京地検特捜部に逮捕された。神田は、世界有数の楽器鑑定者レンバート・ウーリッツァー社の鑑定用紙を偽造し、イタリアから輸入した楽器を塗装し直した上、自らが作った贋の鑑定書を付してニコロ・アマティの作品と偽り、総額1億1000万円の利益を得ていた。
ここではまだ、海野は登場しない。が、事件はこのあと意外な展開をみせる。ここはWikipediaから全文を引用する。
神田侑晃に対する取り調べの過程で、海野義雄（当時、東京芸大教授）に対する贈賄が明らかになった。その一つは、海野が神田保有のガダニーニ（イタリア語版、英語版）製作のヴァイオリン1丁（価格1600万円相当）を教育研究用弦楽器として同大学に購入させ、その見返りとして、神田からビネロン（英語版）製作にかかるヴァイオリン用弓1丁（価格80万円相当）を受け取った件。もう一つは、神田保有のプレッセンダ（イタリア語版、英語版）製作のヴァイオリン1丁（価格880万円相当）を自らの指導する学生に購入させ、その謝礼として神田から現金100万円を受け取った件であった。
つまり、逮捕された神田社長が、ヴァイオリン購入に際して便宜を図ってもらったとして、海野教授にワイロを贈ったというものだ。
ここで海野のここまでに至る経歴を改めてみてみる。
海野は1936年生まれ。青山学院高等部を経て、1954年東京芸大に入学、1958年同大を首席卒業。1959年、23歳の若さでNHK交響楽団のコンサートマスターに抜擢された。1963年にベルリンに留学、在学中からヨーロッパ各地で公演し、その後、世界各地で演奏活動を行い、各地のオーケストラでソリストとして活躍した。帰国後、1970年東京芸大の非常勤講師となり、1972年助教授、1975年には史上最年少39才で教授に就任した。
事件は教授に就任してから６年目、海野45才の時に起こったことになる。
第１回は「東京芸大 海野教授事件」
この事件は、わが国を代表するヴァイオリニストである海野義雄（現在82才）が東京芸大の教授であった時に起こった贈収賄事件で、結果的に海野は受託収賄罪で、懲役1年6月、執行猶予3年の有罪となった。
ネット情報（Wikipediaなど）をもとに、事件の経過をみてみよう。
取っ掛かりは別の事件だった。
1981年12月1日、楽器輸入販売業「カンダ・アンド・カンパニー」の社長・神田侑晃が有印私文書偽造および同行使の容疑で東京地検特捜部に逮捕された。神田は、世界有数の楽器鑑定者レンバート・ウーリッツァー社の鑑定用紙を偽造し、イタリアから輸入した楽器を塗装し直した上、自らが作った贋の鑑定書を付してニコロ・アマティの作品と偽り、総額1億1000万円の利益を得ていた。
ここではまだ、海野は登場しない。が、事件はこのあと意外な展開をみせる。ここはWikipediaから全文を引用する。
神田侑晃に対する取り調べの過程で、海野義雄（当時、東京芸大教授）に対する贈賄が明らかになった。その一つは、海野が神田保有のガダニーニ（イタリア語版、英語版）製作のヴァイオリン1丁（価格1600万円相当）を教育研究用弦楽器として同大学に購入させ、その見返りとして、神田からビネロン（英語版）製作にかかるヴァイオリン用弓1丁（価格80万円相当）を受け取った件。もう一つは、神田保有のプレッセンダ（イタリア語版、英語版）製作のヴァイオリン1丁（価格880万円相当）を自らの指導する学生に購入させ、その謝礼として神田から現金100万円を受け取った件であった。
つまり、逮捕された神田社長が、ヴァイオリン購入に際して便宜を図ってもらったとして、海野教授にワイロを贈ったというものだ。
ここで海野のここまでに至る経歴を改めてみてみる。
海野は1936年生まれ。青山学院高等部を経て、1954年東京芸大に入学、1958年同大を首席卒業。1959年、23歳の若さでNHK交響楽団のコンサートマスターに抜擢された。1963年にベルリンに留学、在学中からヨーロッパ各地で公演し、その後、世界各地で演奏活動を行い、各地のオーケストラでソリストとして活躍した。帰国後、1970年東京芸大の非常勤講師となり、1972年助教授、1975年には史上最年少39才で教授に就任した。
事件は教授に就任してから６年目、海野45才の時に起こったことになる。
1981年12月8日、海野は東京地検特捜部に受託収賄ならびに有印私文書偽造の容疑で逮捕され、12月28日に受託収賄罪で東京地裁に起訴された。この間、収監されていた。ちなみに逮捕当日には、海野がコンマスを務めるＮ響の公演があったが、急遽、徳永二男が代演した。
海野は「私の出演料は1回50万円もする。3日間出演すれば150万円にもなる。芸大教授としての年収500〜600万円を含めれば年収は約2000万円。私が楽器業者からワイロをもらう必要はない。こんなことを言われるのだったら、芸大教授をやめて、演奏活動一筋に生きたい」と主張、収賄を否定した。
さて裁判は、著名ヴァイオリストの逮捕ということで、多くの音楽関係者の注目を集めることとなった。
当時の日本社会党参議院議員であった粕谷照美が国会で追及、当時の東京芸大学長山本正男が参考人として招致されるなど、著名な演奏家・教育者が関わった前代未聞の事件として波紋を呼んだ。芸大では、海野の逮捕後に綱紀粛正を図り、教員が学外でする個人レッスンを当面禁止すると申し合わせた。
無論、音楽関係者からも多くの意見が寄せられた。
たとえば、團伊玖磨は「この事件を機に東京芸大を廃校にせよ、関係者は総辞職せよ」と主張。丹羽正明は「音楽に寄せていた人々の信頼を裏切った」と非難した。
東京地裁で行われた裁判は４年後に幕を閉じた。
1985年4月8日、前述通り、海野には懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決が下りた。推移を見守っていた東京芸大は、この日付で海野を懲戒免職処分とした。
海野は判決を不服として即刻控訴したが、「裁判をこれ以上続けることは、精神的にも時間的にも演奏と両立しない」との理由で、同年10月に控訴を取り下げ、有罪判決が確定した。
と事件の経緯はここまで。
その後、海野はどうしたのか。
有罪判決確定後、海野は家族と共に日本を離れ、フランスのパリ郊外に移住、ヨーロッパで音楽活動を再開した。また1987年には日本でも音楽活動を始めている。裁判の結果は、海野の演奏活動に全く影響を与えなかったのである。また海野は縁あって、2005年から2011年まで東京音大学長を務めた。
この事件は、芸大ヴァイオリン事件、ニセヴァイオリン事件、ガダニーニ事件などとも呼ばれた。ちなみに主犯である、楽器商・神田侑晃は１審で実刑判決が下されたが、控訴審で執行猶予となった。
海野は「私の出演料は1回50万円もする。3日間出演すれば150万円にもなる。芸大教授としての年収500〜600万円を含めれば年収は約2000万円。私が楽器業者からワイロをもらう必要はない。こんなことを言われるのだったら、芸大教授をやめて、演奏活動一筋に生きたい」と主張、収賄を否定した。
さて裁判は、著名ヴァイオリストの逮捕ということで、多くの音楽関係者の注目を集めることとなった。
当時の日本社会党参議院議員であった粕谷照美が国会で追及、当時の東京芸大学長山本正男が参考人として招致されるなど、著名な演奏家・教育者が関わった前代未聞の事件として波紋を呼んだ。芸大では、海野の逮捕後に綱紀粛正を図り、教員が学外でする個人レッスンを当面禁止すると申し合わせた。
無論、音楽関係者からも多くの意見が寄せられた。
たとえば、團伊玖磨は「この事件を機に東京芸大を廃校にせよ、関係者は総辞職せよ」と主張。丹羽正明は「音楽に寄せていた人々の信頼を裏切った」と非難した。
東京地裁で行われた裁判は４年後に幕を閉じた。
1985年4月8日、前述通り、海野には懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決が下りた。推移を見守っていた東京芸大は、この日付で海野を懲戒免職処分とした。
海野は判決を不服として即刻控訴したが、「裁判をこれ以上続けることは、精神的にも時間的にも演奏と両立しない」との理由で、同年10月に控訴を取り下げ、有罪判決が確定した。
と事件の経緯はここまで。
その後、海野はどうしたのか。
有罪判決確定後、海野は家族と共に日本を離れ、フランスのパリ郊外に移住、ヨーロッパで音楽活動を再開した。また1987年には日本でも音楽活動を始めている。裁判の結果は、海野の演奏活動に全く影響を与えなかったのである。また海野は縁あって、2005年から2011年まで東京音大学長を務めた。
この事件は、芸大ヴァイオリン事件、ニセヴァイオリン事件、ガダニーニ事件などとも呼ばれた。ちなみに主犯である、楽器商・神田侑晃は１審で実刑判決が下されたが、控訴審で執行猶予となった。
どこにでもありそうな話だが、東京芸大は国立、しかも斯界の最高峰ということもあって、センセーショナルな事件として扱われた。
